千葉県のがんの現状について
急速に進む千葉県の人口の高齢化
千葉県では、平成22年から37年までの15年間の65歳以上の高齢者人口増加率は35%と、全国第3位(平成17年から27年までの間においては全国第2位)のスピードで人口が高齢化します。

- 国勢調査(総務省)、政策環境基礎調査(千葉県)
日本の都道府県別将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)
高齢化に伴い増加するがん死亡数、罹患数
(1)がんによる死亡状況
本県の死因別死亡割合は、戦後は、脳血管疾患が第1位でしたが、昭和57年からは、がんが第1位となっています。

- 平成27年人口動態統計(厚生労働省)
悪性新生物 | 心疾患 | 肺炎 | 脳血管疾患 | 自殺 | |
---|---|---|---|---|---|
千葉県 | 29.3 | 17.6 | 9.8 | 8.2 | 2.1 |
全国 | 28.7 | 15.2 | 9.4 | 9.7 | 1.8 |
- 平成27年人口動態統計(厚生労働省)
千葉県のがんによる死亡者数は、平成9年に1万人を超え、平成27年には16,443人で、全死亡者数に占める割合は29.3%であり、ほぼ3人に1人ががんで亡くなっています。
この状況は全国も千葉県もほぼ同様です。高齢者が増える中、がんによる死亡数は増加しています。

(2)年齢別の死亡状況
がんは、40歳から89歳までの年齢で死因の第1位となっており、特に50歳から79歳までは、死因の約4割を占めています。

- 平成27年人口動態統計(厚生労働省)
がん死亡率は男女とも50歳から急激に増え始め、増加をし続けています。男性と女性を比べると、男性の死亡率が女性を上回っています。

- 平成24年千葉県がん登録事業報告(千葉県)
(3)部位別の死亡状況
千葉県の主ながんの部位別の75歳未満年齢調整死亡率を見ると、男性は、肺が最も多く、次いで胃、大腸の順となっており、女性は乳房が最も多く、次いで大腸、肺の順になっています。

- 都道府県別死亡データ(国立がん研究センターがん対策情報センター)
(4)75歳未満年齢調整死亡率
75歳未満の年齢調整死亡率は、平成17年の数値と比較して平成27年では男性18.3%減、女性11%減、全体で16.1%減となっています。

- 都道府県別死亡データ(国立がん研究センターがん対策情報センター)
75歳未満について、がんの部位別年齢調整死亡率の推移をみると、男女とも胃がん、肝臓がんは減少していますが、男性の大腸がん、前立腺がん、女性の子宮がんは増加傾向がみられます。
(5)がんの罹患状況
平成24年には、年間31,566人(男性18,677人、女性12,889人)のがん患者が発生しています(平成24年の千葉県がん登録事業(地域がん登録)の推計)。
部位別にみると、男性の胃がんは減少傾向にあるものの第1位であり、第3位の大腸がん、第4位の前立腺がんが増加傾向にあります。一方、女性は乳がんの増加が顕著であるとともに第1位であり、第2位の大腸がん、第3位の子宮がんも緩やかな増加傾向にあります。

- 平成24年千葉県がん登録事業報告(千葉県)
年齢別にみると、男女全体で65歳以上が約70%を占めています。男性のがんは50歳以上で罹患率が高くなっています。男性と女性を比べると、55歳以上では男性の罹患率が女性を上回っていますが、30~54歳までは女性が男性を上回っています。
部位別にみると、男性は、特に、肺がんや前立腺がんは55歳以上から急激に高くなっています。女性は、乳がんが30歳以上から増え始め、70歳から74歳までで最も多い状況です。子宮頸がんは20歳以上で急増し、30歳台で最高になっています。









医療費全体に占めるがん医療費の増加
千葉県の国民健康保険の受診状況(平成21年~27年、各年5月分)を見ると、医療費全体が伸びている中で、新生物(大半が悪性新生物)の医療費の伸びはがん以外の医療費よりも大きく、医療費全体に占める割合が拡大しています。
総点数 (単位:百万) |
指数 (平成21年=100) |
構成比 (%) |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
新生物 | 新生物 以外 |
新生物 | 新生物 以外 |
新生物 | 新生物 以外 |
|
平成21年 | 349 | 2,336 | 100 | 100 | 13.0 | 87.0 |
平成22年 | 418 | 2,703 | 120 | 116 | 13.4 | 86.6 |
平成23年 | 450 | 2,776 | 129 | 119 | 14.0 | 86.0 |
平成24年 | 504 | 2,961 | 144 | 127 | 14.4 | 85.6 |
平成25年 | 511 | 2,980 | 146 | 128 | 14.6 | 85.4 |
平成26年 | 525 | 2,957 | 150 | 127 | 15.1 | 84.9 |
平成27年 | 518 | 2,825 | 148 | 121 | 15.5 | 84.5 |
- 平成27年度国民健康保険病類別疾病統計(千葉県)
全国に比べ相対的に少ない千葉県の医師・看護師・在宅医療資源
千葉県では、人口10万人あたりの医師数・看護師数、在宅医療資源が全国の中でも相対的に少ない中で、現場の医療者の努力により、県の医療を支えてきました。

- 平成26年医師・歯科医師・薬剤師調査(厚生労働省)、平成26年衛生行政報告例(厚生労働省)

- 平成26年医療施設調査(厚生労働省)、平成26年介護サービス施設・事業所調査(厚生労働省)
参考
人数 | 人口100万人当たり | 全国順位 | |
---|---|---|---|
がん治療認定医数 | 396 | 64.5人 | 41 |
がん薬物療法専門医 | 26 | 4.4人 | 26 |
がん看護の専門看護師 | 12 | 2.3人 | 17 |
緩和ケアの認定看護師 | 21 | 3.4人 | 47 |
訪問看護の認定看護師 | 15 | 2.1人 | 13 |
- 都道府県別認定医数(日本がん治療認定医機構)、がん薬物療法専門医名簿(日本臨床腫瘍学会)、
分野別都道府県別登録者数(日本看護協会)、人口動態統計(厚生労働省)から算出