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お腹を開けないで胃がんや大腸がんをとる手術について教えてください。
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一般的な 胃がんや大腸がんの手術は、おなかの真ん中を約15cm切開して切除しますが、大きな切開によらずにがんを切除することも可能です。それには、内視鏡手術と腹腔鏡手術があります。通常の胃や大腸の内視鏡(口からまたは肛門からの)を使って治療する方法と、お腹に直接小さな孔をあけて、そこから内視鏡(腹腔鏡)と鉗子を入れて切除する2つの方法です。
内視鏡による手術は、胃や大腸のがんのある粘膜部分を切り取ってしまう方法ですが、これは早期がんの中で粘膜内の小さながんに限られます。より深いもの、広いもの、リンパ節転移の可能性のあるがんには、この方法はできません。
腹腔鏡を使う方法は、小さな孔を数個あけて、そこからカメラと鉗子を入れて切除する方法です。お腹に5-12mmの穴を4-5カ所と胃や大腸を取り出したり、吻合したりするための35-50mmの穴を1カ所開けて手術をします。
近年では、前立腺がん・腎がん・婦人科がんなどに適応が拡大してきています。腹腔鏡による手術のメリットとしては、傷が小さいこと、術後の痛みが少ないこと、入院期間が短くなることなどがあります。一方問題点としては、孔をあけたところにがんが再発してくることがあること、気腹(お腹に炭酸ガスを入れて膨らますこと)による臓器の血流障害が起こる可能性があること、切除の範囲が甘くなってしまうことなどがあげられます。
腹腔鏡の手術は、がんが進行している場合や開腹手術の既往がある方など、受けられない場合もありますので、自分が受けられる治療かについては主治医と相談する必要があります。
また、どこの病院でも出来る治療でない現状があるため、治療を受ける病院の選択も必要になる場合があります。