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内視鏡治療は手術より安全だと聞いたのですが、がんを取り残したりすることはありませんか。
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内視鏡治療によるがんの取り残し(遺残・再発)ですが、結論から先に言いますと「多少はある」といわざるをえません。
内視鏡機器・技術の進歩により、開腹手術などによらない侵襲(しんしゅう)の少ない内視鏡による治療が可能となってきました。しかも、術後予後もこれまでの外科手術と同等で、術後QOL(生活の質)に関しては臓器が温存されますから、より改善しています。このような背景から、転移のない早期がんに対して、根治を目的に内視鏡治療が積極的に施行されるようになりました。治療をする医師の技量である部分も否めませんが、何よりがんというのは実際に切除するまで、最終診断がつかない病気です。治療前の検査というのは、がんの一部を採取して細胞を調べたり、画像検査によるバーチャルなものであるという限界があります。こうした視点から鑑みると「内視鏡治療で治る見込みがあったが、実際には完全に切除しきれなかった」ということも可能性としてはあります。
不完全切除の場合は当然がんは残っていますから、追加の切除をするために内視鏡手術あるいは開腹手術に進むのが一般的です。
また、がんという病気の性質上、再発の可能性はあります。内視鏡治療は完全に治す、根治目的の治療です。そのため、治療が終わると再発の兆候がないか定期的に検査をする診療に進みます。
また他部位に新たにがんが再発することもあります。しかし1年に1~2回程度の内視鏡検査を受けていれば、もしもがんが再発した場合でも、内視鏡による再治療が可能です。定期検査を怠ったばかりに、他部位に進行がんができ、手遅れになられた患者さんもいらっしゃいました。そこで最も重要なことは内視鏡による定期的な観察といえます。