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抗がん剤の副作用は、どのようなものですか。
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抗がん剤は、がん細胞を死滅させると同時に、正常な細胞も傷つけてしまうことにより様々な副作用が生じます。抗がん剤治療を受ける際は、治療の効果とともに副作用についても主治医から詳しい説明を聞いて、治療を受けることが大切です。以下に主な副作用について述べます。
- 1)血液毒性-骨髄抑制
骨髄細胞が傷害を受けることにより、血液中の白血球、赤血球、血小板の減少が起こります。これらは免疫や血液凝固といった大切な役割を持っているので、減少の度合いが強いと命にかかわりかねません。そのため抗がん剤を投与するときは、頻回の採血検査が必要になります。
白血球が減少すると免疫力が低下し、発熱、感染症(肺炎など)の可能性があるため、抗生物質を投与することがあります。また、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を注射して白血球減少を予防したり、回復を早めることがあります。
血小板が減少すると出血しやすくなり、皮下に出血斑ができたり、歯を磨いたときに出血するようになります。血小板減少が重症化すると、脳出血や消化管出血のおそれが強くなるので、入院をして血小板輸血をしなければならない場合もあります。
赤血球が減少すると貧血になり、めまいなどの症状が出ることがあります。抗がん剤により高度の貧血を起こすことはまれですが、その場合は、輸血による治療を行います。
- 2)吐き気や嘔吐
抗がん剤による吐き気は、個人差が大きく、精神的な影響も関係します。抗がん剤投与直後に起こる吐き気は24時間以内に治まることが多いですが、抗がん剤の種類によっては24時間を超えても持続するものもあります。抗がん剤の治療をするときには、吐き気が起きる前に制吐剤を抗がん剤と一緒に投与するため、昔に比べると吐き気はかなり薬でコントロールできるようになりました。投与1〜2日後から吐き気が出る場合もありますが、直後に出現する吐き気に比べ、薬でのコントロールが難しいとされています。
- 3)しびれ感
抗がん剤の種類によっては、指先や足先からはじまるしびれ感が出ることがあります。進行すると手足の感覚がなくなり、指の力が入りづらくなることもあります。ビタミン剤を使って治療することがありますが、効果は不十分です。回復しづらい症状のため、悪化させないために抗がん剤を中止する場合があります。
- 4)脱毛
すべての抗がん剤で現れるわけではありませんが、脱毛が避けられない場合もあります。程度は使用する抗がん剤の種類によりますが、頭髪だけでなく、まゆ毛やまつ毛などが抜ける場合もあります。特に女性にはつらい副作用ですので、事前にかつらや帽子を準備すると良いでしょう。治療が続いている間は脱毛も続きますが、抗がん剤の投与が終わればまた生えてきます。
- 1)血液毒性-骨髄抑制