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放射線治療とはどのような治療ですか。どんながんにも効果がありますか。
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がんの治療には手術を始め、いろいろな治療法が使われます。各治療法にはそれぞれの特徴があり、病状に適した治療法を一つあるいは幾つか組み合わせて使います。どの治療法を使うかは、がんの進み具合によって決めることもありますが、多くの場合、がんの性質や、がんのできた場所によって決まります。
手術と、その前後に放射線治療を行う組み合わせは比較的良く使われます。ふたつの治療法の長所を生かして病気を治そうとするもので、がんが進んでしまったからというわけではありません。
手術はがんの病巣部をそっくり取り除いてしまいますから、一番確実です。手術や麻酔の技術が進んだため、かなり大きながんでも手術で取ることができるようになりました。しかし、目に見えないくらい小さながんの芽は、外科医の手をすり抜けて生き残ってしまうことがあります。
一方放射線は、このような小さながんの芽には大変有効に働きます。手術でがんを取り除いたあと、その周囲に放射線をかける治療法は、私たちが部屋を掃除するとき、大きなゴミを片付けたあと、小さなほこりを掃除機で吸い取るのに似ています。しかし、すべての手術のあとで放射線治療をするわけではありません。人の体は、場所によって作りが違い、膜で覆われた臓器もあれば、周囲の組織との境目がはっきりしない場所もあります。臓器を包んでいる膜ごと、あるいは周囲の組織ごとそっくり取り除くことができるがんには、手術のあとの放射線治療は必要ありません。
最近では乳がんの治療に乳房温存療法が広く行われるようになりました。がんの病巣部を切除するだけで乳房を残す治療法です。これも、手術とその後の放射線治療を組み合わせることで可能となりました。
がんは体のいろいろな部位にでき、生まれ育った臓器の性質を幾分か残しています。ですから、がんによって性質も少しずつ違い、放射線の効果にも違いがでてきます。放射線が有効で、放射線だけで治るがんは、決して多くはありません。しかし、全く効かないがんも少ないのです。このことは、抗がん剤にもいえます。したがって、がんのできた場所や、性質の違いに応じて手術や放射線、抗がん剤やその他の方法を組み合わせて治療することになります。
また、手術と放射線治療のどちらを主に使うかは、治療後の機能を考えて選ぶこともあります。例えば舌がんでは、手術で切除してしまうと、治療後に食事や会話に障害を残しますし、喉頭がんでは声が出なくなることもあります。切除することでその後の生活に大きな障害が残るような場合には放射線治療が行われます。しかし、まず、病気を治すことが大切ですから、治療法については主治医と話し合って、納得のいく方法を選ぶことが大切でしょう。