がんに関するQ&A

免疫チェックポイント阻害剤とは何ですか。

ヒトには、外から入ってきた病原体を排除しようというシステムがあり、「免疫」と呼ばれます。免疫のシステムが働いたり休んだりするためのスイッチがありますが、休ませるスイッチを「免疫チェックポイント」と呼ぶようになりました。免疫のブレーキとも言えます。病原体を攻撃して排除するのは好ましいことですが、間違えて自分の正常な細胞を攻撃したら大変なことになってしまいます。これを防ぐためにブレーキが必要なのです。このブレーキに問題があると、リウマチや膠原病などの自己免疫疾患になります。がん細胞は元々は自分の細胞から変化したものなので、このブレーキを持っており、免疫からの攻撃を防いでいることが分かっています。

免疫チェックポイント阻害薬はこのブレーキを壊して、免疫システムががん細胞を攻撃できるようにする薬です。この薬を使うと、免疫システムががん細胞を攻撃できるようになり、がんが小さくなったり消失したりすることがあります。同時に正常細胞も傷つけること(副作用)があるため注意が必要です。この副作用には間質性肺炎、大腸炎、重症糖尿病などがあり、最悪の場合、命を落とすこともあります。また免疫のブレーキを壊すだけで、エンジンを強くする治療ではないので、体力がないなど元々免疫の力が落ちている患者さんには効きにくい欠点があります。

現在、悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん、腎がん、古典的ホジキンリンパ腫、胃がんのうち、一定の基準を満たす患者に保険承認されており、今後も大きな進歩が期待されています。

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