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小児がんの治療が終わってからは普通の生活ができますか。気をつけることはありますか。
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入院による治療が終了して退院した後は徐々に家での生活、学校生活に慣れていく必要がありますが、入院前の生活に戻ることが目標です。
全ての治療が終了して退院し外来で経過観察を行う場合、外来で薬物治療や放射線療法を継続する場合、術後のリハビリを継続する場合などがあり、入院前の生活に戻るために必要とする時間は違います。主治医や家族と相談しながら徐々に慣れていくようにしましょう。
退院後の生活上の注意点は、がんの種類や受けてきた治療内容によって異なります。治療終了した患者さん全般に当てはまることや、強い薬物療法・放射線療法・手術療法後などで個別に注意することがありますので、主治医としっかり確認してください。
- 【感染予防】
血液のがんや薬物療法により免疫機能が低下していることがあります。そのため、肺炎などの感染症にかかりやすくなっています。入院中から手洗いやうがいの習慣、外に出るときのマスクの着用のほか、身の回りの清潔を指導されますが、退院後も継続してください。また、人の多い場所に外出することは控えましょう。
免疫機能の低下の状況によっては予防接種をしても効果がない場合があり、予防接種を受けられない場合があります。また、予防接種を受けた感染症にもかかりやすくなっています。麻疹・風疹・水痘などは重症化する可能性もあり、流行地域の情報を得るようにしてください。学校で流行した場合にすぐ連絡がもらえるように担任の先生と相談しておくことが望ましいです。
インフルエンザやその他の流行性感染症は予防が重要です。インフルエンザは家族が予防接種を受けて家族内で広がらないようにすることが大切です。
- 【食事】
腹部手術を受けている場合は腸閉塞を起こしやすいものは避けるようにしましょう。腹部放射線療法を受けている場合は下痢などを起こすことがあります。いずれの場合も避けた方がよい食事は主治医とよく相談してください。
治療中から好きだった食べ物があまり好きではなくなるなど味覚が変わることもあります。また、食欲がなくなることもあるかもしれません。栄養のバランスも考える必要がありますが、食べやすいものを取るようにしてください。
- 【環境への対応と精神的な問題】
退院して治療前の生活パターンに戻った後もなんとなく気持ちが乗らない、どことなく不安な気持ちになることがあります。怒り、悲しみ、つらい記憶、幸福感、安堵感、喪失感、再発への不安など様々な感情が入り交じった経験をすることもあります。また、小児がんと診断されたことや治療の経験が時に心を乱す記憶として起こる「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」を経験する可能性もあります。
他にもがんを克服したという自負から自分を特別な存在に思ってしまったり、治療中同じ病室の友達が亡くなり、自分だけ生き残ってしまったという罪悪感が生まれてくることもあります。
これらのことを1人で抱えていることもありますし、家族で抱えていることもあります。些細なことでも主治医や家族・友人などに相談してみてください。