Vol.3再発を繰り返しながらも、充実した日々を過ごしています
30代 女性 絨毛がん、転移性脳腫瘍、転移性肺腫瘍
私の病気
25歳で結婚、妊娠しました。妊娠した喜びから一転、胞状奇胎、侵入奇胎という病気になり、26歳の時、絨毛がんと診断されました。妊娠がきっかけでなるがんがあるとは、知りませんでした。告知されたときのことはあまり覚えていません。冷静に考えることが出来ず、すぐに仕事を辞め、入院治療に専念しました。入退院を約1年繰り返しましたが、経過も順調で、治療を終えることができました。治療終了から半年が経ち職場復帰の準備をしていました。この時は、再発するとは少しも思っていませんでした。
8年間で5回の再発
1回目の再発が一番苦しかったです。初発の辛い治療を乗り越えて喜びいっぱいでした。主治医に再発を告げられたとき、治療拒否し、家族を困らせました。この8年間に、多くのがん患者さんに出会いました。残念ながら亡くなった方もいます。手術や治療を受けたくても受けられない方と出会い、治療が受けられてありがたいと思うように自分に言い聞かせています。
病気を受け入れるまで
再発5回の8年間で受け入れたり、受け入れられなかったりの繰り返しでした。初発、再発1回目の時は、精神的にあまり良い状況ではありませんでした。主人に八つ当たりをし、健康な人に会うと落ち込み、他人の幸せを喜ぶことが出来ませんでした。精神的に安定できたのは、家族や友人、病気の仲間に支えられたこと、ある程度は時間が解決してくれたと思います。肩に力を入れず、前向き時々後ろ向きという感じで病気と付き合っています。
病気と仕事
再発するたびに仕事を辞めていますが、現在も作業療法士として働いています。職場に病気のことを伝えるか悩みましたが、私は面接のときに伝えています。ただ、再発を繰り返していることだけは言えませんでした。
不妊治療
5回目の再発治療後から、1年以上経過し、主治医から妊娠許可が下りました。長年の抗がん剤治療で卵巣機能が低下し、生理不順になっていました。主治医から不妊治療を勧められましたが、妊娠がきっかけでなったがんなので、主人も私も悩みました。話し合って治療を受けることにしました。半年間体外受精を試みましたが、妊娠には至りませんでした。仕事と治療を両立させることは大変で、日々ストレスを感じていました。自然妊娠は難しいと言われているので、この先、子供を授かることはないと思いますが、このまま元気で充実した日々を過ごしていきたいと思います。
これから
病気になったことは喜ばしいことではありませんが、得たことはたくさんあります。病気の人の気持ちを少しはわかるようになったこと、病気にならなければ出会えなかった方々と出会えたこと、いろんなことに挑戦するようになったことなどです。今後の目標は、作業療法士としてがん患者さんに関われる仕事をしたい、がんピア・サポーターとしてがん患者さん、ご家族の気持ちに寄り添っていけるようになりたいと思っています。
- がん患者サロン
- 千葉県がんピア・サポーター
- 県内の主ながん患者会
- ご遺族へのサポート
- 患者等の体験談
- Vol.1 がんと出会って学んだこと
- Vol.2 人工肛門を造設した後の日常生活の工夫
- Vol.3 再発を繰り返しながらも、充実した日々を過ごしています
- Vol.4 声を失い、再び発声できるまで。そしてこれから。
- Vol.5 がんと私 ~がんのつらさを和らげる~
- Vol.6 正しい知識は人生を変える
- Vol.7 がんになり感じること
- Vol.8 妊娠中・出産後の乳がん治療を支えたもの
- Vol.9 ひとりじゃないよ!みんなそばにいるよ!
- Vol.10 乳がん体験記 ~揺れた心を落ち着かせたこと~
- Vol.11 今も病気と共存して生きる
- Vol.12 がんを体験して
- Vol.13 がんの仲間との出会いで扉が開いた
- Vol.14 がんと上手に付き合っていけたら
- Vol.15 わかってもらえる喜び
- Vol.16 キャンサーギフト(がんになって得たもの)は多くの仲間と貴重な出会い
- Vol.17 早期治療の大切さ
- Vol.18 私のストーマ体験
- Vol.19 感謝の気持ちを忘れずに、希望と勇気を持って一歩一歩前進しましょう
- Vol.20 セカンドオピニオンで納得して治療をスタート
- Vol.21 ストーマと共に暮らす
- Vol.22 自分のがん体験と家族の緩和ケア体験での感じ方の違い
- Vol.23 「話せる場がある」ということ~家族・遺族となってみて~
- Vol.24 オストメイト(人工肛門)25年です
- Vol.25 患者サロン・ピアサポーターズサロンへいらしてください
- Vol.26 がんと私