Vol.11今も病気と共存して生きる
70代 女性 子宮頸がん
私は昭和55年に、子宮頸がんのため両側卵巣を含む広範囲の摘出手術を受けました。術後10年間が経ち、定期的に受診していた先生から「全快です」と言われた時は本当に嬉しかったです。しかし、この後、人工肛門と人工膀胱(ストーマ)の増設手術を受けることになります。術後に受けていた放射線治療の影響で、平成3年頃から血尿や血便、尿と便漏れが出始めたことや、局所の痛みで歩けなくなったことが理由でした。
増設手術をしてからは、体調不良や下痢、尿管カテーテルのつまりなど、ストーマが自分の一部として慣れるまで四苦八苦しました。手術前日に最後の便を出した時には、「長い間ありがとう。これからは新しい肛門にお世話になるから」とトイレでしばらく泣いたこともいまだに忘れられません。
それでも「このストーマと共存することは、これから生きていくためのシステムなのだ」と前向きに明るくとらえて、現在まで過ごしてきました。これは私をずーっと支えてくれた家族のおかげだと思います。退院したその日に、家族5人の前で「ばあちゃん、病院からこんな物をつけて来たよ」とストーマや装具などありのままの姿を見せました。小さな孫が、尿バッグを見て「オシッコがたまってる!」とびっくり仰天していたことはとても印象的でした。日常生活では、いつも家族がいたわってくれて、食事中のオナラも抵抗なく「いま出たね!」と笑いあうなど、退院した日にありのままの姿を見せて良かったと感じています。その後はストーマのケアにも慣れ、ひと冬ひと夏過ぎる頃にはもう自分の一部となっていました。仕事へも復帰しました。
そして仲間探しもしました。県内のとある患者会に入会し、日常のアドバイスやケアのヒントをいただきました。全国大会、県内の社会適応訓練講習会等に参加し、県内外の仲間と電話や手紙などでストーマ生活を楽しんでいます。
あれから25年、ストーマとの共存にも慣れ、「同じ悩みを持つ体験者の貴重なお話が聞け、支えあえる場があること」に感謝しています。県内には様々な患者会やサロンがあります。また、がん診療連携拠点病院などには、いろいろなことを相談できる「がん相談支援センター」もあります。
今、私は晩期合併症などを抱えていますが、医学は日進月歩の時代にいる感じで、この先には何か楽しいことがあるようで、病と共存して一日一日大切に生活しています。
- がん患者サロン
- 千葉県がんピア・サポーター
- 県内の主ながん患者会
- ご遺族へのサポート
- 患者等の体験談
- Vol.1 がんと出会って学んだこと
- Vol.2 人工肛門を造設した後の日常生活の工夫
- Vol.3 再発を繰り返しながらも、充実した日々を過ごしています
- Vol.4 声を失い、再び発声できるまで。そしてこれから。
- Vol.5 がんと私 ~がんのつらさを和らげる~
- Vol.6 正しい知識は人生を変える
- Vol.7 がんになり感じること
- Vol.8 妊娠中・出産後の乳がん治療を支えたもの
- Vol.9 ひとりじゃないよ!みんなそばにいるよ!
- Vol.10 乳がん体験記 ~揺れた心を落ち着かせたこと~
- Vol.11 今も病気と共存して生きる
- Vol.12 がんを体験して
- Vol.13 がんの仲間との出会いで扉が開いた
- Vol.14 がんと上手に付き合っていけたら
- Vol.15 わかってもらえる喜び
- Vol.16 キャンサーギフト(がんになって得たもの)は多くの仲間と貴重な出会い
- Vol.17 早期治療の大切さ
- Vol.18 私のストーマ体験
- Vol.19 感謝の気持ちを忘れずに、希望と勇気を持って一歩一歩前進しましょう
- Vol.20 セカンドオピニオンで納得して治療をスタート
- Vol.21 ストーマと共に暮らす
- Vol.22 自分のがん体験と家族の緩和ケア体験での感じ方の違い
- Vol.23 「話せる場がある」ということ~家族・遺族となってみて~
- Vol.24 オストメイト(人工肛門)25年です
- Vol.25 患者サロン・ピアサポーターズサロンへいらしてください
- Vol.26 がんと私