Vol.22 自分のがん体験と家族の緩和ケア体験での感じ方の違い
40代 女性 白血病・食道がん(遺族)
私は子供が2歳の時に急性骨髄性白血病を発症し、8か月の入院と骨髄移植を経て、現在は通常の暮らしができるように回復しています。
病気が発覚した当時は、なぜ自分がこんな目に遭わなければいけないのかと、怒り、恨み、悲しみ等、悪魔のような心が押し寄せていました。現実を受け入れられないまま、有無を言わさず治療は開始され、日々の葛藤は大変なものでした。けれども、小さな子供のことを考えると辛い治療も前向きになれ、当時は2歳だった子供も今では中学生です。
先月末に父を食道がんで亡くしました。発症から2年はそれなりに楽しい生活ができていましたが、緩和ケア病棟に入院してからは1ヶ月足らずでした。がんは、治療を乗り越え病気を克服し元の生活に戻れる場合もあれば、治療の甲斐なくこの世を去る場合もあることを目の当たりにしました。
自分自身は過去にがんの闘病を経験したけれど、家族の立場は初めてでしたから、気遣いや接し方の正解が分かりませんでした。あの時もっとこうしていれば、ああしてあげればよかったと反省や後悔の気持ちになることもあります。しかし、最後を緩和ケア病棟で過ごせたことは、父にとっても私たち家族にとっても最善だったと感じています。
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