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Vol.5 がんと私 ~がんのつらさを和らげる~

60代 女性 乳がん

私が57歳の時のこと、夫は60歳で肺がんの手術を12月8日に受けました。郷里の86歳の母がその月の初めに膵臓がんの末期と言われて12月27日に亡くなりました。私は年明けの1月6日に乳がんで左乳房を全摘しました。それまで平穏だった日々が、急にがんラッシュに襲われたのです。

しかし、夫の退院後二人で帰郷して、1週間母に付添うことができました。病院のベッドの上で、布団を丸めて作った肘掛けにもたれかかりながらNHKのど自慢を見ていた母の笑顔が忘れられません。夫の63歳の誕生日は沖縄でお祝いをしましたが、半年後に夫も旅立ってしまいました。私は手術・抗がん剤・ホルモン剤が終了して、今も元気で暮らしております。

母や夫のために穏やかで心休まる時間を作りたいといろいろ考えている間は、自分のがんを忘れていました。何かに熱中していたり、何かの役に立っていると感じられる時間は痛みや苦しみから解放されます。そのようなこともあり、私は現在、地元や原発事故の仮設住宅でのボランティア活動の他、がんを体験した患者としてもボランティアをしています。活動の中では、友達と友達が繋がっていき、人の輪がどんどん大きくなっていっていることを実感しています。

がんを体験して家族を失い一人になりましたが、ボランティア活動は人のためだけではなく自分自身を豊かにしてくれると思います。

無理せずに、これからもその時その時を大切にしていきます。

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